健康に生きる覚悟 森村誠一

ここしばらくは、森村誠一の小説をずっと読んでいる。

そんな中、小説以外のものも読んでみた。
「健康に生きる覚悟」という高齢者になった作者自身の健康管理の本である。

高齢者による健康管理の本は、いろいろあり、今までも何冊も読んだことはあるから、あまり目新しさはない。
内容も今までの類書に書かれたものと大差はない。
ただ作家である著者の表現は、さすが48年も現役の作家でやってきたということで、読ませるものである。
一晩で読んでしまった。

例えば、老後は、「余生」(余った生)ではなく、「誉生」(誉ある生)にしなくてはいけないとか。
便利さになれてしまう「便奴」になっては、だめだとか。
ユニークが言い回しが多く、読んでいて、内容は目新しいものはなくても、面白い。

また、有名な作家の日常生活が描かれているのが、読者としては興味深い。
毎日の事細かなスケジュールや食事の内容それにいつも飲んでいるサプリメントや散歩ルールまで載っているのである。

作家は、作家であり続けることが難しいといわれる。
デビューしてもすぐに消えてしまう人がほとんどだという。
確かに何年か前に有名な文学賞をとっても今は、名を聞かない作家が多い。
あるいは、元作家と呼ぶべきか。

そんな中、48年も現役でやってきた森村誠一は、例外中の存在であろう。
そんな作家の健康管理の本である。
日々精進している様子がこの本から感じることができた。

健康管理が十分にできていたからここまで第一線の作家としてやってきたのであろう。
昔の破滅型の作家では、ここまで長く作家をやって来れなかったにちがいない。
今後も新作を出し続けてほしいものである。