退職金貧乏 塚崎公義

退職金貧乏というネーミングが読んでみるきっかけになった。

なかなか読者をひきつけるタイトルである。
内容はというと、退職金を減らさないための運用術とでもいった内容だ。
読んでいると、今までの類似の資金運用の本と基本的には、内容はそんなに変わらない。

 

ただいくつか私の考えるところと違う点があるので、それを挙げてみたい。

例えば、公的年金の受給年齢をできるだけ遅くする、ということだ。
これに関しては、いろいろ異論があるだろう。
私自身も年金の受給年齢は、本来の年齢で受け取りたいと考えている。
今現在の平均余命からすると65歳で受け取る公的年金を70歳で受け取った方が、統計的にいうと得だというものだ。
確かにその通りかもしれない。
だが、60歳あるいは、65歳で退職して、70歳まで年金を受けとらずに今までの預貯金だけで暮らしていくというのは、何か精神的につらいような気がする。
その間は、無収入なのである。
2か月に1回年金が振り込まれるという安心感は、老後の精神的な支えになるような気がする。
無論著者のように割り切れる人は、70歳からの年金受給を選択すべきだろうが。

 

あと、元気なうちはなるべく働く、というのも私自身は、直ぐにでも仕事は辞めたいほうだからちょっと無理である。
著者は、70歳で年金を受け取るというのなら、その歳まで働いた方がいいと考えているようだ。
正直、70歳までは働きたくはない。
多分は、体が動くのは70歳までだから、60歳で退職してから70歳までの10年間は、旅行をしたりして、自分の残りの人生を楽しみたいと考えている。

 

投資についてであるが、株式投資は、個別投資ではなく、ETFで行った方がいいという。
インデックス投資である。
わたしもこれが正解だと思うが、ただ、インデックス投信やETFによる投資は、小額とはいえ、手数料が毎年かかる。
株式であれば、購入時には手数料はかかるが、持続している限りはかからない。
それに大きな違いは、株主優待制度を利用できることだ。
これが実質的利回りを大きくしている。
株式もある程度分散して運用するようになれば、実際下落リスクはかなり軽減され、ETF等と差がなくなる。
毎年の手数料と株主優待の分だけを比較すると、個別株式を分散して購入することによる運用の方がメリットがあると考えている。

 

最後に自宅については、持ち家の方を勧めているが、私自身は、賃貸のほうがメリットが大きいと思う。
いつ地震起きるかもわからない中、持ち家を持つことは、日本列島どこにいてもリスクが大きい。
高齢者になると不動産を借りにくくなるというが、今現在1割以上の空家がある中では、今後はもっと借りやすくなると考える方が自然ではないか。