ビブリア古書堂の事件手帖5 栞子さんと繋がりの時 三上 延

最初にこのシリーズの第1作を読んだときには、古書をめぐる謎解きということですごく新鮮だったことを覚えている。

ミステリーというと殺人事件が起きなくてはいけないというイメージを持っていたので、古書を題材にした、殺人事件の起きないミステリーということで面白く読んだ。

 

そして、このシリーズも第5作になった。
主人公の二人の恋愛関係もかなり進んでいて、二人の恋愛模様もストーリー上の面白さになっている。
だが、ずっと読んできた読者としては、あくまでも探偵と助手という関係のままでいてほしいという気もする。
シャーロックホームズとワトソンのように友情関係のままでいてほしいのだ。
何か恋愛が進行してしまうと読者としては、古書をめぐる推理と二人の恋愛との間でどっちに集中していいのかわからなくなってしまう。
これって、読者のわがままなのかな。

 

さて、ストーリーは、いくつかの本に関する物語が進行する。
個人的に面白かったのは、ブラックジャックのエピソードだ。
もずっと読んできた漫画だし、手塚治虫に関するストーリーも興味深い。
ブラックジャック手塚治虫の人気のないころに書かれた漫画だったというのも意外だった。
彼は、漫画の神様だと思われているから、そんな時期もあったとは。

また、最後は、予想外のエンディングで、また過去に扱った人物が登場するというのも何か息の長いシリーズを予感させる展開である。