刑務所わず 堀江貴文

獄中ものである。

獄中ものは、好きで佐藤優や山本譲治のものも読んだことがある。
子供のころには、モンテクリスト伯が面白かった記憶がある。

 

なぜ獄中ものに惹かれるのだろうか。
絶対に自分が体験することのない世界を垣間見ることができるのが、その理由かもしれない。
だが、著者に言わせれば、ちょっとした間違いで誰でも経験するかもしれないと書いている。

これは、まさに著者の本当の気持ちであろう。

刑務所なんかに入るとは、思っていなかったにちがいないのだから。

 

「刑務所わず」は、刑務所シリーズの第3作目である。

1,2作とも読んできて、面白かったので、楽しみにしていた。
本の形式は、今までと同じで文章の間に漫画が挟まった形をとっている。
著者は、刑務所では、障害者や高齢者の世話をする係にいた。
これを読むと現実の世界より、刑務所の方が高齢化が進んでいるようで何か、世の中の先を行っているような気さえした。刑務所というより介護の現場という感じである。
違うことは、現実世界では、人手不足にあえいでいるが、刑務所の中は、人手はあることくらいか。

 

それに現実世界より人間関係が大事なことが強調されていた。
意外であったが、よく考えれば、当然であろう。
塀の中の限られた世界なのだから、嫌になっても逃げ出すことはできないのだから当たり前だ。
だから、こういう事実を読むとやはり刑務所生活は、絶対したくないと思う。

 

こどものころモンテクリスト伯を読んだときは、独房に入れられ、どうにかして脱獄をはかる主人公にロマンを感じていた。
だが、現実の刑務所は、現実社会以上に人間関係に縛られているようである。

現実社会よりストレスを感じそうなのだ。

 

でも、著者が刑務所内のカーストを一歩一歩上がっていき、その分、面会時間や手紙の回数が増えたりするのを喜んでいるのは、読者としても素直に共感できる。

つまりは、どんな生活の中にも喜びはあるということだろう。