遊郭医光蘭闇捌き1 土橋章宏

暗い過去を持ち、医者をしている主人公が、吉原界隈で起きる事件解決を手伝うという物語だ。

何かテレビでやっていた必殺仕事人的な物語である。
そういう意味では、既視感のあるものなので、あまり新鮮味を感じられないかもしれない。

 

だが、結構物語の展開に意外性があって、楽しめる。
花魁が雪隠で斬られたり、やはり花魁が爆発したり、と面白い。
何かテレビ的でその映像が浮かんでくる。

 

書店に行くとこのような文庫書き下ろしの時代物が多数平積みになっている。
これもその中の一つだが、他の作品との違いを出すのは大変だろう。
読者は、そういう時代物に慣れた層だろうから、時代物のベースは守りつつ、新しさを出さなくてはいけない。

 

第一作を読んだところでは、ある程度は成功しているから二作目も期待できる出来だ。
主人公が抱えた重い過去が今後のストーリー展開にどう反映するのかも楽しみである。
最後の終わりは、続編が続くことをほのめかしている。

 

昨年、同じ著者の原作による「超高速!参勤交代」という映画を見た。
ユニークな発想でスピード感もあり、楽しめた。
今回の物語は、その映画ほどは意外性はないが、今後に期待したい。