臆病者のための億万長者入門 橘玲

橘玲の本は、何冊か読んでいる。

お金に関したものが多いが、読むと作者独特の言い方に引かれる。
この本でもそんな作者の言い方は健在である。

 

たとえば、「宝くじは、愚か者に課せられた税金」とか「不幸の宝くじ、生命保険」とか。
宝くじを金融商品としてみると、
「宝くじの購入には、リスクがあります。1等の当選確率は、1000万分の1で宝くじは毎回3万円分、0歳から100歳まで購入したとしても99.9%の購入者は生涯当選することはありません」
「宝くじには、購入代金に対して50%の手数料がかかります、等々」
金融商品取引法の理念に照らすとリスクとコストを以上のような文面ではっきり書く必要があると作者は、言っている。

 

多くの購入者は、夢を買っているつもりだろうが、実際宝くじは、ほとんど税金に近いことは間違いない。
内容も今まで自分たちが常識だと思っていたことを見事に論理的にうちやぶってくれる。
なんかそんなことが読んでいて、心地よい。

 

最終的な結論としては、株式投資等の資産形成は、労働市場で富を得られなくなったときの保険と考えた方がいいというものだ。
ある意味では夢はないが、こんなところが現実なのだろう。

 

よく巷には、「160万円を元手に株式投資をはじめ、5年間で100億円を超える資産を築いた20代の個人投資家」の話とかあるが、これは、宝くじで6億円当てた人間と同じレベルの偶然の賜物である。
確率的にほとんどの人は、そうなることはない。

自分の考え方を冷静にしてくれる本である。