虚像の道化師 ガリレオ7 東野圭吾

ガリレオシリーズの短編集である。

テレビでも小説でも楽しんでいる。
今回のシリーズを読んでいて、以前放映していたのと内容が同じだと気がついた。
ただテレビと小説とは内容が多少違うのはやむをえない。
小説とテレビとは違うものだと思っているので、それについてとやかく言うつもりはない。
たとえば、テレビでは、ほとんど大学時代の友人の草薙が出てこないとか。

小説にはない、女性の刑事が登場するとか。

 

小説は、小説として楽しめればいいと考えている。
推理小説の基本どおり、突拍子もない非現実的な事件が起きて、それをガリレオが解決するという設定は、とても面白い。
松本清張ふうのリアリズムとは別の世界である。
これが実に楽しい。
無論松本清張ふうの社会派推理小説も悪くはないが、あくまでもフィクションに徹しているところがこのシリーズの魅力である。


ガリレオが 一見荒唐無稽な現実にはありえない事件を科学的かつ合理的に解明する過程にもひきつけられる。
わたしは、科学には、弱いのだが、ガリレオが説明すると難しい理屈も納得がいってしまう。
一般読者向けにかなりわかりやすく解説してくれるのがうれしい。

 

それにキャラクターの面白さ、あるいは奇抜さと言った方がいいかもしれないが、それもこのシリーズの良さである。
推理小説は、シャーロックホームズに始まって、変わり者が主人公のものが多い。
ある意味では定番になっているが、湯川学という学者の変わり者ぶりも楽しい。

私は、推理小説は長編よりも短編が好きなので、このシリーズは、短編の魅力を十分に読者に感じさせてくれるものだと思う。